HOME»  クロアチア・コラム»  ミネラルが豊富な野鳥の楽園「古都ニン」

ミネラルが豊富な野鳥の楽園「古都ニン」

野鳥とニンの塩田

ニンの塩田で働く人々が自慢げに話すことは、自分達が作る塩のことではありません。彼らが自慢するのはこの塩田を住処とする沢山の野鳥の事です。塩田とその周りに飛来する野鳥は280種以上が確認されていて、ニンは鳥類保護区域に指定されている野鳥の楽園となっています。バードウォッチングを楽しむ人々が多く訪れる人気エリアとなっています。

ニンはアドリア海に面したラグーンの中にあります。ラグーンとは湾が砂州によって外海と隔てられ潟になっている状態のことです。ここは遠浅の海域で深いところでも水深2m足らず、波もなく穏やかで水温も暖かくなっています。岸の周りは水草が生い茂り豊かで繊細な生態系を持ちまさに小さな命の宝庫といった環境です。そしてニンの塩田はこの中に太古より築かれています。潮の満ち引きを利用した濃縮用のプール(ソルトパン)が並び、そのプールを順に海水が循環して徐々に塩分の濃度を高めて行き最終的な採塩用のプールに運ばれます。
海水を引き込んだ初期の段階のプールは、周りのラグーンと同じく水草の生い茂る環境です、ここでは多くの藻類が繁殖し、それを餌とする小魚やエビなどが沢山繁殖し、多くの野鳥がこの格好の餌場を目当てに飛来します。

塩水に繁殖する藻類の中でスピルリナは多くのミネラルを含み抗酸化作用が注目されているβ-カロテンを合成します。つまり、アドリア海の海水は、ここで活発な生命サイクルを通してミネラルを多く含んだ滋養にあふれる命ある水へと磨かれているのです。
ニンの塩田が塩を採取するのは一年の間で7月から9月までの二ヶ月の間だけです。採塩の期間を制限し、残りの期間はお休みして野鳥達に餌場として開放されています。実はこのお休みの期間が塩にとって重要な時間となることを長い経験から彼らは知っています。ニンでは塩の生産のサイクルを早めることで自然環境を壊してしまわないように配慮しています。それは、この自然循環を継続的なプロセスとして大事に守っていくことがニンにとって重要なことだと考えているからです。その為、塩が取れる量は毎年同じです。(年間の天候次第で若干変わるそうですが)
塩の生産と、自然サイクルの保護が両立していることが彼らの自慢なのです。

1500年の歴史はニンの人々にとっては決して長い時間だとは思っていないようです。人間が自然との友好な関係を築く事が出来ればあっというまに1万年ぐらい過ぎていくんでしょうね。

http://x0093549.xaas.jp/docs/